流星
ふたご座流星群の極大:見ごろの時間帯と見る方向
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国際流星機構(IMO)が主な年間流星群のなかで最も安定していると評するふたご座流星群が、12月14日の14:00 UTCごろに極大を迎えます。東京ではこの時刻は月のない暗い夜にあたり、放射点は高度58°にあります。過去20年間には極大が予報より最大17時間早く来たこともあり、そこまで早まると東京では夜明けの薄明の時間帯になりますが、予報どおりか数時間のずれであれば、12月14日の夜が絶好の機会です。
どの夜を選ぶか
流星が多い状態(ZHRが100以上。ZHRについては「どれくらい見えるか」の節を参照)が続くのは、極大をはさんだ10~12時間ほどだけです。IMOによると、過去20年間に十分な観測データが得られた極大は、予報時刻の約17時間前から4時間後までの間に起きています。2026年でいえば、12月13日の21:00 UTCから14日の18:00 UTCまでのどこかです。
東京で空が十分に暗くなるのは、12月14日の夜、09:05~20:15 UTCの間です。この時間帯のうち18:00 UTCまでは極大が起こりうる範囲に入っていて、予報時刻の14:00 UTCもそのなかにあります。前日13日の夜は、この範囲が始まる21:00 UTCより前に明けてしまいます。14日も宵のうちは放射点がまだ低く(10:00 UTCで高度12°)、夜が更けるにつれて高くなります。IMOは極大の後半に明るい流星が増えるとしているので、14:00 UTCを過ぎてからも見る価値があります。ヨーロッパでは予報時刻が昼間か薄明にあたり、放射点も低いか地平線の下にあるため、13日から14日にかけての夜が狙い目です。北米の西海岸では、予報極大の約1時間前に夜が明けます。
どこを見るか
ふたご座流星群の流星は空のどこにでも現れますが、経路を逆向きにたどると、ふたご座の明るい星カストルの近くにある1点に行き着きます。この点が放射点です。
北半球の中緯度では、放射点は日没のころ北東の空から昇り、真夜中ごろに南の空で最も高くなります。東京(北緯35.7°)では、12月14日の08:46 UTCに昇り、09:50 UTCごろに高度10°を超えます。予報極大の14:00 UTCには東の空の高度58°にあり、16:36 UTCごろには高度87°、ほぼ天頂まで達します。放射点が高度40°以上で、しかも空が暗いのは、12:32 UTCごろから、天文薄明が始まる20:15 UTCごろまでです。放射点が高いほど見える流星は多くなるので、宵のうちを除けば夜のほとんどが好条件です。
放射点そのものを見つめる必要はありません。放射点の近くに現れる流星は経路が短く、放射点から離れるほど経路は長くなります。空のいちばん暗い方向を向き、地平線と天頂の中ほどを眺めましょう。SkyFluxの星図では、現在地から見た放射点の位置を確認できます。
南半球では、ふたご座流星群の流星は少なくなります。放射点は天の赤道より33°北にあるため、シドニー(南緯34°)では北の空で最高でも高度23°にしかならず、南緯57°より南では地平線の上に昇りません。オーストラリア東部でも予報極大の時刻は夜にあたりますが、見える数は放射点が高い東京の3分の1ほどにとどまります。
どれくらい見えるか
IMOによると、ふたご座流星群のZHR(天頂出現数)は150です。ZHRとは、雲ひとつない空で6.5等の星まで見え、放射点が天頂にあるという条件で、1人の観測者が1時間に数える流星の数のことです。実際に見える数はこれより少なく、その主な原因は空の明るさです。ふたご座流星群の場合、光害のために見える最も暗い星の等級(限界等級)が1等級明るくなるごとに、流星の数はおよそ2.6分の1になります。予報極大の14:00 UTC、東京で放射点が高度58°にあるときについて計算すると、5.5等の星まで見える郊外の空で1時間に約50個、明るい市街地の空で約30個、暗い農村部の空で約80個です。これは極大の時刻での数で、極大が予報からずれればそのぶん少なくなります。放射点は16:36 UTCごろにはほぼ天頂まで昇るので、流星群の活動が同じ強さであれば、見える数はさらに2割ほど増えます。
ふたご座流星群の流星は秒速35 kmで大気に飛び込みます。ペルセウス座流星群(秒速59 km)より遅いため、ゆっくり流れるのが見た目にもよくわかります。明るい流星や火球が多いことでも知られています。
月は輝面比19~27%の細い月で、東京では12月14日の12:00 UTCごろに沈みます。そのあとは夜明けまで月明かりのない空になります。
小惑星から生まれる流星群
ご存じですか?多くの流星群は彗星から生まれますが、ふたご座流星群の母天体は直径約6 kmの小惑星ファエトン(3200)です。ファエトンは太陽から0.14天文単位(約2,100万 km)の距離まで近づきます。水星が太陽に最も近づくときの距離の半分にもなりません。太陽の近くでは短い尾が現れ、2023年には太陽観測衛星のデータから、この尾がちりではなくナトリウムのガスでできていることがわかりました。ふたご座流星群のもとになった大量のちりを、ファエトンがなぜ放出したのかは、今も謎のままです。
出典とライセンス
- IMO 2026 Meteor Shower Calendar(J. Rendtel編) — 極大12月14日14h UT(λ☉ 262.2°)、ZHR 150、活動期間12月4~20日、放射点 α 112° δ +33°、V∞ 35 km/s、r 2.6、極大が起こりうる範囲12月13日21h~14日18h UT、ZHR 100以上が10~12時間続くこと、極大の後半に明るい流星が増えること、極大時の月が上弦前の細い月であること、ZHRの定義。PDFはimo.netに掲載されていません(サイト改修中、2026年10月17日)。同一の保存版:https://web.archive.org/web/20251223170423/https://imo.net/files/meteor-shower/cal2026.pdf
- Ryabova & Rendtel 2017, MNRAS Letters, doi:10.1093/mnrasl/slx205 (arXiv:1712.01516) — 空の明るさの係数 r^(6.5−LM) と放射点高度の係数 sin h を含むZHRの式(式4)。ふたご座流星群の活動期間の大部分で r = 2.6。https://arxiv.org/abs/1712.01516
- JPL Horizons(NASA/JPL) — 月の輝面比と高度、太陽高度、東京での月の入り・薄明の時刻、木星と火星の位置。JPL Horizons、2026年10月19日に計算(12月14日14:00 UTCの木星・火星の位置は10月20日に確認)。東京から見た放射点の高度と方位、時刻は、IMOによる放射点の位置(α 112°、δ +33°)をもとにした独自の計算です。https://ssd.jpl.nasa.gov/horizons/
- JPL Small-Body Database — 小惑星ファエトン(3200)の軌道と直径(q 0.14 au、直径6.25 km)。https://ssd.jpl.nasa.gov/tools/sbdb_lookup.html#/?sstr=3200
- NASA Science: Geminids — 母天体がファエトンであること、多くの流星群は彗星から生まれること。https://science.nasa.gov/solar-system/meteors-meteorites/geminids/
- SIMBAD(CDS、ストラスブール) — カストル(alf Gem)とポルックス(bet Gem)の位置と等級。https://simbad.cds.unistra.fr/simbad/
- NASA NSSDC Mercury Fact Sheet — 水星の近日点距離(4,600万 km = 0.31 au)。https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/mercuryfact.html
- NASA、2023年4月25日:Asteroid's comet-like tail is not made of dust — ファエトンの尾はナトリウムのガス(SOHO・STEREOの観測)。数千年前に何らかの破壊的な出来事があったと考えられているが、それが何だったのかは「今も謎」。https://www.nasa.gov/solar-system/asteroids-comets-meteors/asteroids/asteroids-comet-like-tail-is-not-made-of-dust-solar-observatories-reveal/



