白色矮星には近くで見れば緑やピンク、薄紫に見えるものも、新しい研究で判明
公開: · 更新:

白色矮星は、太陽のような星が一生を終えたあとに残る高密度の天体で、白か淡い青の星として思い描かれることがほとんどです。ウォーリック大学のマーク・ホランズ氏が率いる研究チームは、星が点ではなく丸い面として見分けられるほど近くまで寄った観測者に白色矮星が何色に見えるかを計算し、2026年10月15日に学術誌『RAS Techniques and Instruments』で発表しました。ほとんどの白色矮星は、やはり白でした。太陽の近くにある152個のうち、熱で光る物体の色からはっきり外れるのは約30個に1個だけで、それらはピンクか黄色に見えます。一方、チームが特に選んだ珍しい星の中からは、はっきり緑に見える星も1つ見つかりました。
研究の内容
研究チームは2種類のサンプルを使いました。1つは、太陽から20パーセク(約65光年)以内にある既知の白色矮星すべてで、152個あります。明るさではなく距離で区切ったサンプルなので、典型的な白色矮星の姿がわかります。もう1つは、極端な例を示すために選び出したグループです。炭素に富む白色矮星36個、ナトリウムやカルシウム、マグネシウムなどの重い元素に富む白色矮星36個(天文学ではヘリウムより重い元素をすべて「金属」と呼びますが、このグループの「金属」には炭素を含めていません)、そして水素とヘリウムが混ざった大気をもつ非常に低温の白色矮星15個です。それぞれの星の色は、観測されたスペクトル、または測定で得られた星の温度と組成に合うモデルスペクトルを使って計算しました。スペクトルとは、星の光を波長ごとに分けたものです。チームはCIE 1931等色関数を使ってこのスペクトルから色を求め、その結果を画面で使われる色の規格sRGBに変換しました。等色関数は、明るい場所での人の視覚(明所視)が光の波長ごとにどう反応するかを定めた国際標準です。
こうして得られるのは色相と彩度で、明るさは含まれません。点ではなく丸い面として見分けられるほど近くにある白色矮星は1つもないため、これらは写真ではなく、計算で求めた色です。
ほとんどの白色矮星は、やはり白い
サンプルの典型的な白色矮星の色温度は約6,800 K(論文では6,768 K)です。色温度とは、熱で光を放つ理想的な物体である黒体が同じ色を示すときの温度のことです。6,800 Kの色はごく淡い白で、昼の太陽光に近い色です。白色矮星は青みがかっているというおなじみのイメージは、最も高温の白色矮星から来ています。高温のものほど明るいため、明るい天体から選んでいく観測調査では実際の割合より多く含まれてしまうのです。著者らは、青い白色矮星というよくある描き方は実態を表していないと述べています。
152個のうち147個は、黒体に近い色をしています。黒体の色は温度に応じて赤から白を経て青へと移り変わる連続的な色の列になり、太陽の色もこの並びの中にあります。残る5個はこの並びから外れていて、2個が黄色、3個がピンクで、緑のものはありません。152個中5個は3.3%にあたります。論文は、サンプルが小さいことを考慮したうえで、白色矮星全体では3.4%(おおよそ2~5%)、つまり約30個に1個が黒体とはっきり異なる色をもつと見積もっています。変わった色の白色矮星は少数ですが、確かに存在します。
緑に見える星:WD J1330+6435
論文の中で最も鮮やかな緑を示すのはWD J1330+6435です。表面温度約4,240 K(約4,000°C)の低温の白色矮星で、太陽に近い152個ではなく、金属に富む36個のグループに属しています。ヘリウムの大気にはナトリウム、カルシウム、リチウムがわずかに含まれています。これらの元素は、同じタイプのほかの白色矮星の場合と同じく、この星の惑星系にあった岩石の破片が星に落ちてきたことに由来します。ナトリウムはオレンジ色の光を、カルシウムは紫の光を吸収するため、この星の光は500 nm付近で最も強くなります。nm(ナノメートル)は10億分の1メートルです。論文はこうして生じる色を、黄みがかった緑の「シャルトルーズグリーン」と呼んでいます。
ただし、この緑については注意点が2つあります。1つ目は、これがモデルで求めた色だということです。モデルを当てはめた観測スペクトルは、著者ら自身が「いくらかノイズが多い」と述べているもので、実際の色はわずかに異なる可能性があります。2つ目は、この星が唯一の例ではないことです。金属に富む36個のうち、WD J0851+1543とWD J1351+2645の2個も、ずっと淡いものの緑に見えます。WD J1330+6435を「初めての緑の星」と呼ぶ見出しもありますが、論文の主張はもっと控えめで、著者らが知る限り、白色矮星以外の星が緑に見えると報告された例はない、というだけです。本記事では、著者らが調べた白色矮星の中で最も鮮やかな緑の星と呼んでいます。
ピンク、黄色、シアン色、薄紫
ピンクやサーモンピンクに見えるのは、大気に炭素を含む白色矮星です。WD J0902+2010は論文のシミュレーション画像でピンクに見え、14.73パーセク(約48光年)の距離にあるWD J1011+2845は濃いサーモンピンクです。WD J1011+2845の光の大部分は600 nmより長い波長(オレンジ色と赤)にあり、論文は、見た目の色で比べれば、この星はおそらく知られている星の中で最も赤いとしています。これは見え方のことで、最も低温だという意味ではありません。この星の温度は約4,300 Kで、緑の星とほぼ同じです。炭素に富む36個の白色矮星のうち、最も温度の高いものは淡い青に、それより少し低温の星のいくつかは薄紫に見え、さらに低温の星の多くは濃淡さまざまなピンクに、一部はピーチ色に見えます。
152個の中にある黄色の白色矮星2個は、緑の星と同じく金属に富む星です。シアン色は別のグループに現れます。このグループは、水素とヘリウムが混ざった大気をもつ非常に低温の白色矮星で、その大気では水素分子とヘリウム原子の衝突によって可視光が吸収されます。論文はこうした星15個を別に選んで調べたため、この15個は白色矮星全体を代表するサンプルではありません。
なぜ密度で色が変わるのか
原因は大気にあります。白色矮星の外層は重力で非常に強く押し縮められ、最も低温の星では密度が約1 g/cm³に達し、水とほぼ同じになります。これほど密度の高いガスの中では、金属原子の最も強い吸収線が押し広げられ、幅が数十~数百ナノメートルの帯になります。そのため、わずかなナトリウムやカルシウムでも、スペクトルの細い一部分ではなく、光からひとつの色をまるごと取り除いてしまうことがあります。
- ナトリウムがオレンジ色を、カルシウムが紫を吸収すると、緑が残ります。
- 炭素分子は可視スペクトルの中ほどで幅の広い帯状に光を吸収し、やや温度の高い星は薄紫になります。最も低温で密度の高い大気では、その高い密度によって吸収帯の形がゆがみ(少なくとも1つの星では磁場も関わっている可能性があります)、色はピンクに変わります。
- 最も低温の混合大気では、水素とヘリウムの衝突によって色がシアン色寄りになります。
実際に見ることはできる?
いいえ。これらの星はどれも肉眼では見えません。望遠鏡を使っても、光が弱いと人の目は色をうまく感じ取れないため、これらの星の色を確実に見分けることはできません。また、近くから見られたとしても、星はどんな画面でも表せないほど明るく輝くはずです。ここで紹介した色は光の物理から予測されたもので、今夜の空で確かめられるものではありません。
出典とライセンス
- Hollands, Gänsicke, Tremblay, Koester「Any colour you like: the diverse chromaticities of white dwarfs」RAS Techniques and Instruments 5, rzag069(2026年) — 手法、サンプル(20パーセク以内の白色矮星152個と、そのうち黒体から大きく外れた色をもつ5個)、中央値6,768 K、3.4%という見積もり、WD J1330+6435とWD J1011+2845のデータ、密度、図のカラーコードの主な出典です。2026年10月15日に、CC BY 4.0のオープンアクセス論文として公開されました。https://doi.org/10.1093/rasti/rzag069
- ウォーリック大学のプレスリリース(2026年10月15日) — 一般向けの説明と、3つの色の概要に使いました。プレスリリースの数(151個と146個)は論文の152個と147個と異なるため、本記事では論文の数を使っています。掲載画像には利用許諾の記載がないため、使用していません。https://warwick.ac.uk/news/pressreleases/astronomers-reveal-true-colours-of-white-dwarf-stars/
- arXiv:2610.18966(論文のプレプリント) — 論文本文の表現と数値を確かめるために読みました。https://arxiv.org/abs/2610.18966



